経済産業省の審議会資料において、老後の生活の為には、年金以外に2895万円の資金が必要になるとの試算が掲載されていた。
[コメント]
2000万円問題の関係。老後の不足額として、更に大きい数字が掲載された資料がある、という事で一部メディアに掲載された。
資料では、2018年に65歳の夫婦世帯で老後(65~95歳)に必要となる資金は2895万円と試算。これは、生活費10,763万円と公的年金収入7,868万円の差額。
生活費の数字は夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦の平均の実支出を用いて推計されたもの。また、前提は、(2019年版ではなく)2014年版の財政検証のケースHである。
なお、資料では、別途、85歳まで生存の場合の不足金額も試算されており、老後の期間が10年延びる事による影響(必要となる老後資金が増加)が分析されている。
この数字については、2000万円問題の方の試算と同じで、あくまで一つの試算に過ぎない。実際の相談者の不安を解消する為には、このような数字をそのまま使うのではなく、個々の事情に応じた分析と対策が必要である(実際に対策すべき金額や内容は相談者によって大幅に異なる)。
ただし、今後、相談者が報道された数字を強く意識して相談に来られる事は想定される。そうした場合には、相談者の個々の事情との差異について十分な説明を行う事が望まれる。
[データ元]
経済産業省(ただし、審議会資料の一部として記載があるのみ)
[データ日付]
2019年4月時点
[関連URL]
経済産業省 第5回 産業構造審議会 2050経済社会構造部会
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/2050_keizai/005.html
同 資料3 労働市場の構造変化の現状と課題について
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/2050_keizai/pdf/005_03_00.pdf
※数字があるのは資料のp.24